傷痕王子妃は幸せになりたい(コミック版)感想|やり直し×一途な恋【ネタバレあり】

作者:えとう蜜夏(原作)、majoccoid(漫画)

※この記事は『傷痕王子妃は幸せになりたい(コミック版)』のネタバレを含む感想記事です。未読の方はご注意ください。

初めて当ブログにお越しになった方はまず「はじ」をご一読いただきますようお願い致します。

目次

作品情報

ジャンル恋愛(異世界)状態完結
出版社白泉社 巻数6巻
原作情報ムーンライトノベルズ

あらすじ

「傷痕王子妃」として虐げられる不幸な人生を送っていたリリーシアは、ある日バルコニーから突き落とされ、目が覚めると10歳の自分に!今度こそ幸せになることを決意すると、かつての自分のように傷を負った少年・イーサンと出会い――?小説家になろう発、運命に導かれた異世界やり直しピュアラブ!

ヤングアニマルWebより

おすすめ度 

  • 軽い読み物として読みたい時におすすめ
  • やり直し・巻き戻し系が好きな人
  • お互いに一途に想い合っているが良い

感想(ネタバレ注意)

『傷痕王子妃は幸せになりたい』は、過酷な人生を送ってきた主人公が時間をやり直し、今度こそ幸せを掴もうとする、“やり直し系”の作品。
今回は漫画版を読んだところ絵柄がとても綺麗だったため、読みやすかった。目の保養になった。
このジャンルが好きなので見つけてすぐに読んだが、個人的には引っかかる部分が多かった。

やり直し前の主人公の境遇はかなり悲惨で、同情すべき状況ではある。ただ、その環境がどうして長年成立していたのか、周囲の人間関係の描写が薄く、側妃の存在が大きな要因として描かれているものの、「一人の側妃の影響だけで、ここまで状況が悪化するものなのか?」という疑問が拭えなかった。

物語が進むにつれて事件の裏側は明かされていくが、その過程で主人公が自分の意思で状況を切り開いていく場面はあまり多くない。そのため、展開としては理解できても、読後に強いカタルシスを感じることはなかった。
感情が高ぶって泣くシーンも頻繁に出てくるが、感情移入しきれなかったので共感しにくかった。単純に私自身が主人公の性格に惹かれなかっただけではある。

やり直し後の世界では主人公側で十分な情報共有がされていない点や、悪役側にはやり直しに気づいている人がいない点についても、特にちゃんとした説明はなく「魔法の効果だから」という描写で終わっている(ように読み取った)。ここは少しご都合主義に感じた。
学生生活の描写も、基本的にはいつものメンバーとのやり取りが中心で、主人公が周囲からどう評価されているのかがぼんやりしている。そのため、悪い噂を流され、それを払拭する流れにも説得力を感じにくかった。

一方で、はっきりと良いと思えた点もある。
やり直し後に出会ったヒーローと主人公が、お互いに一途である関係性は読んでいて安心できた。恋愛面では無駄な不安要素が少なく、「この二人なら大丈夫だろう」と思わせてくれる描写は、この作品の魅力だと思う。

物語のラストはハッピーエンドで、主人公が幸せになれたこと自体は素直に良かった。ただ、全体を通して見ると、「もっと踏み込んだ描写や展開ができたのでは?」という気持ちが残り、読み終えた後は少しもやもやした。

総合的に見ると、この作品は一途な恋愛や穏やかな救済を重視したい人には向いている。一方で、人間関係の積み重ねや主人公の主体性、強いカタルシスを求める人には、好みが分かれそう。
私には合わなかった部分も多かったが、刺さる人には安心して読める一作だと思う。

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