ゲームの世界に転生した俺が○○になるまで 感想|転生者が当たり前の世界で描かれる骨太ファンタジー【ネタバレあり】

作者:藤原チワ子

※この記事は『ゲームの世界に転生した俺が○○になるまで』のネタバレを含む感想記事です。未読の方はご注意ください。

初めて当ブログにお越しになった方はまず「はじ」をご一読いただきますようお願い致します。

目次

あらすじ

前世で死んだのは二十九歳。死因はトラックにはねられてというテンプレだった。
そして転生したのは、前世でプレイしていたMMORPG≪ゴールデン・ドーン≫にとてもよく似た異世界。
生まれ育った辺境の山を出て、のんびりとファンタジーな世界を旅しようと思っていた俺は、何故か回り始めた運命の歯車とやらに巻き込まれてしまう。
――これは、ゲームの世界に転生した俺が○○になるまでの話――。

※R18は二部からです。

ゲームの世界に転生した俺が○○になるまでより

作品情報

種別連載小説状態完結
文字数880,939文字ページ数229ページ
シリーズゴールデン・ドーン掲載先ムーンライトノベルズ
R指定R18
攻め

年下攻め 包容力あり

受け

商業化情報

KADOKAWAより書籍化、漫画化されています。
書籍は全3巻、漫画はビーズログコミックスにて連載中

おすすめ度 

  • 甘さだけではなくスリルも感じたい人におすすめ
  • 冒険要素が多め

感想(ネタバレ注意)

ネタバレなし感想
229ページの長編だったけど、話がだれることなくテンポよく進み、最後まで一気に読めた。おかげで寝不足。
舞台は日本のゲームの世界。ゲームのプレイヤーだった主人公・カリヤが転生し、様々な出会いや因縁を経て治安が悪い世界を生き抜いていく物語。
この作品で面白かったのは、「転生者が珍しくない世界」という設定。NPCたちも転生者の存在を認知しており、転生者同士でコミュニティを作って国とは別で動いている部分がある。人数が増えれば当然秩序を保つのも難しくなり、中には結構頭のおかしい転生者もいる。NPCも同じ。中世くらいの時代で身分差社会のため理不尽も結構ある。
主人公のカリヤは山奥で人との交流がほとんどない生活を送っていたが、旅に出るため山を下りたことで戦争に巻き込まれる。成り行きで徴兵され、ゲームでも有名なキャラのナダルに出会ったり、王女の護衛を任されたりと、どんどん立場が変わっていく。
世界観は少し複雑だけど、テンポよく物語が進むので読みやすかった。

ネタバレあり感想
ティシアに転生者がほとんどいなくなった理由が興味深かった。というのも6年前、当時の王弟と婚約し子供までできた転生者が、実は別の転生者の婚約者だったことから悲劇が起きる。その女性が自殺したことで、婚約者を中心とした転生者コミュニティが報復を開始し、国内にいた転生者も他国へ移住してしまう。その結果、ティシアは転生者の力を失った状態で戦争をすることになる。
ただ、この部分は少し気になった。転生者が自殺した理由を転生者の婚約とティシア王家でちゃんとすり合わせた感じがなく、いきなり魔法で関係者を星にしている。調査もしていたようだがゲーム世界なのだから、鑑定アイテムなど事実確認ができそうな道具もありそうなのに、そういうグッズは使っていない様子。見落としたかもしれない。

その違和感を残したまま物語が進み、途中で「本当に自殺だったのか?」という匂わせが入る。その後、ある程度真相がわかる第三者視点も入り、真相がいつ明かされるのか気になって最後まで読む手が止まらなかった。
また、カリヤと王子との逃避行で出会った人物たちが、後のピンチでしっかり生きてくる構成も面白い。
カリヤ自身も課金特典など便利な機能を使えるものの、決してチートだけで解決するわけではない。知恵を絞ったり、地道な根回しを重ねたりして状況を切り開いていくため、「俺TUEEE」になりすぎないバランスがちょうど良かった。

一番心臓に悪かったのは、カリヤが敵側に拉致される展開。途中はかなりきつい状況が続くが、カリヤ自身が必要以上にネガティブにならないように描写を抑えているようで、読んでいるこちらも何とか最後まで読めた。読み終わってから「よく考えるとかなり過酷だった」と改めて感じた。
そして新鮮だったのは終盤あたり。主人公がお妃になると跡継ぎ問題はどうするのだろうと思っていたが、まさか王位を譲位し、王朝そのものを変えるという決着になった。他の作品ではあまり見ない展開だったので、印象に残っている。
全体を通してシリアスな展開が続く一方で、中盤から断続的に甘い描写もあり飽きが来なかった。

印象に残ったキャラクター
好きだったのはフィアス。さっぱりした性格で、変に湿っぽくならないところが魅力的だった。
もちろんカリヤも好きだし、幼馴染のアロワをはじめその後が気になるキャラクターや魅力的なキャラクターが多かった。

読後の感想
229ページと長めの作品だったが、中だるみを感じることなく最後まで楽しめた。
気になる点が全くなかったわけではないものの、それ以上に世界観やストーリー構成が面白く、続きを読む手が止まらなかった。
番外編も少し公開されているが、それだけでは物足りない。メインの二人が亡くなるまでの人生を全部読みたいと思ってしまうくらい、この世界でどんなことが起きるのか気になってしまった。
転生ものが好きな人はもちろん、しっかり作り込まれた世界観のファンタジーを読みたい人にもおすすめしたい作品だ。

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